Web制作の役割分担は、職種名を増やすことではなく、各工程で「誰が決めるか・誰が作業するか・誰が確認するか」を決めることです。
紙・広告・グラフィック制作で使っている顧客対応、進行管理、デザイン、校正の方法を土台に、画面幅、操作、CMS、フォーム、本番公開などWeb固有の判断を追加すれば進められます。
3行で分かる要点
- 一人が複数の役割を兼ねても構いませんが、最終判断者は一人に決めます。
- 役割は会社名や職種名ではなく、成果物と工程ごとに記録します。
- 制作会社が顧客窓口とデザインを担い、実装・技術検証だけを外部へ任せる分担もできます。
Web制作では「担当・決定・確認」を工程ごとに分ける
同じ人が窓口、ディレクション、デザインを兼ねる小規模な体制でも問題ありません。ただし、「担当者がいる」だけでは、仕様変更や公開直前に判断が止まることがあります。成果物ごとに、決定する人、作業する人、確認する人を分けて書くと、見積範囲と完了条件も揃えやすくなります。
次の表は、制作会社が顧客窓口とデザインを担い、GreenCodingのような実装パートナーがWeb固有の技術工程を支援する場合の記入例です。案件の契約や体制に合わせて入れ替えてください。
| 成果物・判断 | 決める人 | 作業する人 | 確認する人 |
|---|---|---|---|
| 目的・優先順位 | 制作会社と顧客 | 制作会社 | 顧客の責任者 |
| 原稿・画像・権利 | 制作会社と顧客 | 制作会社・顧客 | 制作会社と顧客 |
| 構成・デザイン | 制作会社 | 制作会社 | 顧客の承認者 |
| 画面幅・動作・CMS・フォーム | 制作会社 | 実装パートナーが提案・実装 | 制作会社と運用担当 |
| 表示・機能・アクセシビリティ確認 | 制作会社 | 実装パートナー | 制作会社 |
| 本番公開 | 制作会社と顧客 | 指定された公開担当 | 制作会社 |
| 更新・保守 | 契約時に決めた責任者 | 社内担当または保守担当 | 制作会社と顧客 |
ポイント:「未定」は欠落ではありません。誰が、いつまでに、何を根拠に決めるかを記録すれば、工程として管理できます。
紙・広告の進行に追加したいWeb固有の判断
紙面制作で培ったヒアリング、情報整理、デザイン、校正、顧客との合意形成はWeb制作でも中心になります。その上で、完成物が固定されないWebでは、次の判断を役割表へ加えます。
- 表示状態:スマートフォン、タブレット、PCで何を優先し、文字量や画像をどう変化させるか。
- 操作状態:メニュー、ボタン、フォームの入力、エラー、送信完了を誰が確認するか。
- 更新権限:WordPressで誰が記事を更新し、設定変更やユーザー管理を誰に限定するか。
- 公開と復旧:公開を承認する人、サーバーへ反映する人、不具合時に戻す判断をする人。
WordPressには管理者、編集者、投稿者などの権限があります。役職名に合わせて全員を管理者にするのではなく、実際に行う作業に必要な権限へ分けることが運用上の基本です。
役割分担表は3ステップで作る
- 成果物と判断事項を並べる
見積前なら目的、ページ、CMS、フォーム、素材、公開、保守までを書き出します。費用に含める範囲はWeb制作の見積で漏れやすい作業も確認できます。 - 決める人・作業する人・確認する人を置く
会社名だけでなく、顧客側の正式な窓口や公開承認者まで決めます。原稿・画像・権限の集め方は素材とアクセス情報の回収方法へ分けて整理します。 - 期限と完了の証拠を付ける
デザイン承認日、検証対象の端末、本番URL、送信メール、バックアップなど、何を見れば完了と判断できるかを記録します。デザイン支給時は実装へ渡す仕様と素材も合わせます。
分担例:顧客窓口とデザインは制作会社、実装は外部
制作会社は、エンドクライアントへのヒアリング、情報設計、デザイン、原稿校正、承認管理を担当します。実装パートナーは、レスポンシブ仕様の補足、HTML・CSS・JavaScript、WordPress、フォーム、技術検証を担当します。顧客は、事実情報、写真や素材の利用権、公開可否を承認します。
顧客との関係やデザインの主導権を外へ渡す必要はありません。技術的な未定事項だけを早い段階で共有し、提案と実装を補完してもらう形にできます。
本番公開は「公開判断」と「反映作業」を分ける
公開判断は、顧客の事実確認、制作会社のデザイン・内容確認、実装担当の技術検証を揃えて行います。一方、反映作業はサーバーやWordPressを操作する担当が行います。誰がボタンを押すかだけでなく、反映前のバックアップ、対象ファイル、反映後の確認、復旧判断まで決めておくと、緊急時にも連絡先がぶれません。
よくある質問
少人数で一人が複数の役割を兼ねてもよいですか?
問題ありません。ただし、自分で作業したものを誰が最終承認するかは別に記録します。顧客の事実確認と公開承認まで一人で代行しないことが重要です。
仕様が固まり切る前でも実装パートナーへ相談できますか?
相談できます。見積に必要な判断、デザイン前に決めたい動作、実装段階で決められる内容を分ければ、すべてを最初に確定する必要はありません。
途中で担当や仕様が変わった場合はどうしますか?
役割表と見積範囲を同時に更新し、変更を決める人、費用や納期への影響、再確認が必要な成果物を記録します。口頭の引き継ぎだけにしないことがポイントです。
現在の進行方法を保ったまま、Web固有の工程を補えます
GreenCodingでは、現在お使いの進行表、見積書式、顧客窓口、デザイン判断を尊重しながら、Web固有の確認項目を補います。IllustratorやPDF、既存URL、相談内容の段階から、決まっていること、追加確認が必要なこと、任せたい工程を整理できます。
公式情報
- W3C WAI: Plan(責任者、目標、評価方法の計画)
- W3C WAI: Implement(成果物、担当、早期・継続評価)
- WordPress.org: Roles and Capabilities(運用権限の役割)
最終確認日: 2026年9月7日。役割分担は案件の契約、体制、権限に合わせて決めてください。掲載表は法的・契約上の責任を一律に定めるものではありません。